【株主総会の流れ⑤】法務・総務向け|【雛形あり】株主総会参考書類・議決権行使書面とは?記載事項や発送スケジュールについて解説

目次

株主総会参考書類・議決権行使書面とは?

株主総会参考書類とは?

参考書類
参考書類

 株主総会参考書類とは、株主の議決権行使について参考になるべき事項が記載された書類のことをいいます。

議決権行使書面とは?

 議決権行使書面は株主総会に出席しない株主本人が書面又は電磁的方法によって議決権を行使する場合の書類です(会社法第298条第1項第3・4号)。

 原則として、株主総会に出席しない株主に書面又は電磁的方法により議決権を行使できる旨の取り決めをすることは任意です。 

 しかし、株主が1000人以上いる株式会社の場合は、株主総会に出席しない株主に書面でも議決権を行使できる取り決めを定めなければならないため、議決権行使書面を交付しなければなりません(会社法第298条第2項)。

会社法第298条第1項

取締役は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

  1. 株主総会の日時及び場所
  2. 株主総会の目的である事項があるときは、当該目的
  3. 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使できることができることとするときは、その旨
  4. 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使できることができることとするときは、その旨
  5. 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
会社法第298条第2項

 取締役は、株主(株主総会において議決権を行使できる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の数が1000人以上である場合には、前項第3号に掲げる事項を定めなければならない。

 

株主総会参考書類の記載事項

株主総会参考書類の記載事項

 株主総会参考書類に記載すべき事項としては、会社法施行規則第73条第1項により義務付けられている「法定事項」と任意に記載すべき事項である「任意事項」があります。

法定事項
(会社法施行規則第73条第1項)

  1. 議案
  2. 提案の理由
    (議案が取締役の提出に係るものに限り、株主総会において一定の事項を説明しなければならない議案の場合における当該説明すべき内容を含む。)
  3. 議案につき法第384条、第389条第3項又は第399条の5の規定により株主総会に報告をすべきときは、その報告の内容の概要
会社法施行規則第73条第1項(株主総会参考書類に記載すべき事項)

 株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

  1. 議案
  2. 提案の理由
    (議案が取締役の提出に係るものに限り、株主総会において一定の事項を説明しなければならない議案の場合における当該説明すべき内容を含む。)
  3. 議案につき法第384条、第389条第3項又は第399条の5の規定により株主総会に報告をすべきときは、その報告の内容の概要
会社法第384条
(監査役の報告義務)

 監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類その他法務省令で定める者を調査しなければならない。この場合において、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。

会社法第389条第1~3項
(定款で範囲を制限している監査役の報告義務)
  1. 公開会社ではない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第381条第1項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
  2. 前項の規定による定款の定めがある株式会社の監査役は、法務省令で定めるところにより監査報告を作成しなければならない。
  3. 前項の監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する議案、書類その他の法務省令で定める者を調査し、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。
会社法第399条の5
(監査等委員の報告義務)

 監査等委員は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類その他法務省令で定める者について法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その旨を株式会社に報告しなければならない。

任意事項
(会社法施行規則第73条第2項)

 法定事項以外に、株主の議決権行使に際して参考となると認める情報については、任意で記載することができます。

会社法施行規則第73条第2項)

 株主総会参考書類には、この節に定めるもののほか、株主の議決権の行使について参考となると認める事項を記載することができる。

株主総会参考書類の交付を省略できる場合

省略
省略

 株主総会参考書類に記載すべき内容が他の書面や電磁的方法で既に提供されている場合、再度の記載は不要です。

 ただし、その旨を株主に明確に通知する必要があります(会社法規則第73条第3項)。

会社法規則第73条第3項

 同一の株主総会に関して株主に対して提供する株主総会参考書類に記載すべき事項のうち、他の書面に記載している事項又は電磁的方法により提供する事項がある場合には、これらの事項は、株主に対して提供する株主総会参考書類に記載することを要しない。この場合においては、他の書面に記載している事項又は電磁的方法により提供する事項があることを明らかにしなければならない。

議決権行使書面の記載事項

  1. 各議案(次のイからハまでに掲げる場合にあっては、当該イからハまでに定めるもの)についての賛否(棄権の欄を設ける場合にあっては、棄権を含む。)を記載する欄
    イ 二以上の役員等の選任に関する議案である場合 各候補者の選任
    ロ 二以上の役員等の解任に関する議案である場合 各役員等の解任
    ハ 二以上の会計監査人の不再任に関する議案である場合 各会計監査人の不再任
  2. 第63条第3号ニに掲げる事項についての定めがあるときは、第一号の欄に記載がない議決権行使書面が株式会社に提出された場合における各議案についての賛成、反対又は棄権のいずれかの意思の表示があったものとする取扱いの内容
  3. 第63条第3号ヘ又は第4号ロに掲げる事項についての定めがあるときは、当該事項
  4. 議決権の行使の期限
  5. 議決権を行使すべき株主の氏名又は名称及び行使することができる議決権の数(次のイ又はロに掲げる場合にあっては、当該イ又はロに定める事項を含む。)
    イ 議案ごとに当該株主が行使することができる議決権の数が異なる場合 議案ごとの議決権の数
    ロ 一部の議案につき議決権を行使することができない場合 議決権を行使することができる議案又は議決権を行使することができない議案
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次