全体の流れ
本補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の販路開拓等の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。申請前の準備段階から事後手続きまでの流れを説明していきます。
本補助金の対象経費や小規模事業者持続化補助金という制度の概要については下記の記事で解説しています。
準備~事後手続きの流れは下記表及び下記説明のとおりです。
経営計画書・補助事業計画書の作成
📍Gビズプライムのアカウント作成
第16回から申請方法が電子申請のみとなりました。電子申請はGビズより行う必要がありますので、事前にIDを作成する必要があります。GビズIDを作成するWEBページ(https://gbiz-id.go.jp/top/)へ行き、作成をお願いします。
📍申請枠の決定
本補助金は以下申請枠のうち1つを選択し、申請することとなります。第16回はこれまでの回と比較すると申請期限が大幅に短縮されましたので、申請枠を早めに決定し、申請手続きスムーズに行う必要があります。
通常枠
以下の申請枠を用いない場合は、通常枠にて申請することとなります。
賃金引上げ枠
補助事業終了日までに、職場内の賃金を申請時の地域別最低賃金より+30円(既に地域別最低賃金より+30円である場合は現時点の賃金+30円)にすることを条件に補助金額を上乗せすることができる申請枠です。
卒業枠
補助事業終了日までに小規模事業者の枠を超えることを条件とし、その条件を満たすことで補助金額を上乗せすることができる申請枠です。
※小規模事業者の枠
業種 | 常時使用する従業員数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人 |
製造業その他 | 20人 |
後継者支援枠
年に1度開催されるアトツギ甲子園(https://atotsugi-koshien.go.jp/)でファイナリスト又は準ファイナリストとなった事業者限定で補助金額を上乗せすることができる申請枠です。
創業枠
事業者が本補助金の公募締切時から起算して3年前までに「特定創業支援等事業」による支援を受けた場合のみを対象とし、補助額を上乗せすることができる申請枠です。
📍申請先の特定(商工会or商工会議所)
申請の際、指定された期日までに事業場所を管轄している商工会又は商工会議所へ書類を持っていく必要があります。期日に間に合わなければ申請自体が拒絶されてしまいます。
一般的に各事業者の最寄りの商工会又は商工会議所が管轄となります。以下WEBページ又はGoogleマップで最寄りの場所を検索し、電話にて相談することをお勧めします。
📍必要書類の準備
申請する際、法人・個人によって必要な書類が変わってきます。
そのため、申請前にはよく確認をしておきましょう。
個人
共通
- 直近の確定申告書又は開業届(税務署受付印のあるもの)
賃金引上げ枠
- 直近1か月間における労働基準法に基づく賃金台帳(役員、専従者従業員を除く全従業員分)
- 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類
例)雇用契約書、労働条件通知書、就業規則等
卒業枠
- 労働基準法に基づく最新の労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)
創業枠
- 特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書の写し
- 開業届(税務署受付印のあるもの)
インボイス特例
- 適格請求書発行事業者の登録通知書の写し
- 登録申請データの「受信通知」
登録申請データの「受信通知」は、下記HPで確認可能です。
https://www.e-tax.nta.go.jp/
法人
共通
- 貸借対照表および損益計算書(直近1期分)
※決算期を一度も迎えていない場合は不要 - 株主名簿
※様式2の「確認事項」欄に出資者の名称、出資比率が記載されている場合は不要
賃金引上げ枠
- 直近1か月間における労働基準法に基づく賃金台帳(役員、専従者従業員を除く全従業員分)
- 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類
例)雇用契約書、労働条件通知書、就業規則等
- 直近1期に税務署へ提出した税務署受付印のある、法人税申告書の別表1・別表4の写し
- 赤字事業者のみ
- 電子申告(e-Tax)で申告した場合は、受付印の代用として「受付結果(受信通知)」
- 法人税申告書を書面提出した方で表紙に受付印がない場合には、税務署が発行する、「納税証明書(その2:所得金額の証明書)」の写しを追加で提出
卒業枠
- 労働基準法に基づく最新の労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)
創業枠
- 特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書の写し
- 現在の事項全部証明書又は履歴事項全部証明書の原本
インボイス特例
- 適格請求書発行事業者の登録通知書の写し
- 登録申請データの「受信通知」
登録申請データの「受信通知」は、下記HPで確認可能です。
https://www.e-tax.nta.go.jp/
また、希望する加点により以下の書類が追加で必要となります。
事業承継加点
法人
- 事業承継診断票
- 代表者の生年月日が確認できる公的書類
例:運転免許証・健康保険書・住民票の写し
- 「後継者候補」の実在確認書類
代表者と後継者候補との関係により、必要書類が異なります。
- 後継者が「他の役員(親族含む)」の場合:
⇒「現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書」(申請書の提出日から3か月以内の日付のもの・原本)(または、役員に就任していることが分かる書類の写し) - 後継者が「従業員(親族含む)」の場合:
⇒当該従業員にかかる「雇用契約書」の写し(または、当該従業員を雇用していることが分かる書類の写し) - 後継者が上記以外の以外の場合:
⇒実在確認用の公的書類(本人の運転免許証の写しや住民票等)
個人
- 事業承継診断票
- 代表者の生年月日が確認できる公的書類
例:運転免許証・健康保険書・住民票の写し
- 「後継者候補」の実在確認書類
- 後継者が「従業員(親族含む)」の場合:
⇒当該従業員にかかる「雇用契約書」の写し(または、当該従業員を雇用していることが分かる書類の写し) - 後継者が「家族専従者」の場合:
⇒必須の提出書類である「確定申告書または青色申告決算書」において専従者であることが確認可能なら、追加資料は不要 - 後継者が上記以外の以外の場合:
⇒実在確認用の公的書類(本人の運転免許証の写しや住民票等)
経営力向上加点
法人
- 「経営力向上計画」の認定書(必ず基準日までに認定を受けていること)の写し
個人
- 「経営力向上計画」の認定書(必ず基準日までに認定を受けていること)の写し
東日本大震災加点
法人
- 食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書(受領印押印済み)の写し
個人
- 食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書(受領印押印済み)の写し
くるみん・えるぼし加点
法人
- 基準適合一般事業主認定通知書の写し
個人
- 基準適合一般事業主認定通知書の写し
賃上げ加点
法人
- 直近1か月間における労働基準法に基づく賃金台帳(役員、専従者従業員を除く全従業員分)の写し
- 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類の写し
例)雇用契約書、労働条件通知書、就業規則等
個人
- 直近1か月間における労働基準法に基づく賃金台帳(役員、専従者従業員を除く全従業員分)の写し
- 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類の写し
例)雇用契約書、労働条件通知書、就業規則等
📍インボイス特例の活用検討
補助金事務局が指定する期間にインボイス登録をしていない事業者が、補助事業終了日までにインボイス登録をすることを条件に、補助上限金額を50万円上乗せする制度です。
📍加点項目の活用検討
本補助金では「重点政策加点」と「政策加点」の2種類の加点要素から各々1つを選択することで採択を有利にすることができます。
※「重点政策加点」、「政策加点」から2種類以上を選択された場合には、加点審査の対象となりません。
重点政策加点
赤字賃上げ加点
経常利益が赤字であり、かつ、賃金引上げ枠で申請をする事業者のみ適用することができる加点です。
賃金引上げ枠(赤字事業者)を希望した時点で自動的に適用されます。
事業環境変化加点
ウクライナ情勢や原油価格、LP ガス価格等の高騰による影響を受けている事業者が適用することができる加点です。
東日本大震災加点
東京電力福島第一原子力発電所の影響を受け、引き続き厳しい事業環境下にある下記事業者が適用することができる加点です。
- 東京電力福島第一原子力発電所の事故により避難指示等の対象となった福島県12市町村(田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村)に補助事業実施場所が所在する事業者
- 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS 処理水の処分に伴う風評影響を克服するため、新たな販路開拓等に取り組む太平洋沿岸部(北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県及び千葉県)に所在する水産仲買業者及び水産加工業者
くるみん・えるぼし加点
次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者が適用することができる加点です。
政策加点
賃上げ加点
補助事業の終了日までに事業場内最低賃金を申請時の地域別最低賃金より+30円以上(既に達成している場合には現賃金+30円以上)とすることを条件とする加点です。
パワーアップ型加点
以下の事業計画を策定している事業者が適用することができる加点です。
- 地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画
- 地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需要喚起を目的とした取組等を行う計画
経営力向上計画加点
補助金事務局が指定する期日までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者が適用することができる加点です。
事業承継加点
補助金事務局が指定する期日時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合に適用することができる加点です。
過疎地域加点
「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取組を行う事業者が適用することができる加点です。
一般事業主行動計画策定加点
従業員100 人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者、もしくは従業員100人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者が適用することができる加点です。
📍補助対象事業及び使途の明確化
本補助金の申請時に補助対象事業の具体的内容及び使途を記載した事業計画書を作成しなければなりません。また、採点項目になっています。より良い事業計画書を作成することで採択される確率が上がるため、質の高い事業計画書を作るために明確にしておきましょう。
管轄の商工会or商工会議所へ「事業支援計画書(様式4)」の交付を依頼
📍電子申請画面への入力
補助金事務局が公開した電子申請画面へ入り、申請枠や加点項目の確定及び準備してきた事業計画書を入力します。
📍申請内容画面の印刷
全ての入力を終えましたら、「マイページ」→「公募・交付申請」へ進み、その画面を印刷してください。
📍商工会or商工会議所へ予約の電話
上記を終えましたら、「事業支援計画書(様式4)の受領のため、予約します」という旨の電話を入れましょう。
特に申請期限間近となった場合には予約しなければ交付を受けることが出来ないほど人が集中するため早めに電話をしておきましょう。
事務局へ申請書類を送付
📍申請実行
電子申請の最後から2番目の画面へ事業支援計画書(様式4)を添付してください。
最後の画面では、入力情報を全て確認し、誤記がない場合は申請を完了してください。
審査および採択・不採択の決定
📍補助金事務局の審査員による審査
補助金事務局は、基礎審査・計画審査・加点審査の3つの観点から審査をします。
基礎審査
本審査では、事業計画の前段階である以下の形式的な部分について審査されます。
- 必要書類が全て提出されているか
- 補助対象者・補助対象事業・補助率・補助上限額・補助対象経費の要件を満たし、記載内容が合致しているか
- 補助事業を遂行する能力を有するか
- 小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組か
計画審査
本審査では、事業計画について審査されます。
- 自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか
- 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか
- 経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか
- 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
- 販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
- 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか
- 補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか
- 補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか
- 事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか
加点審査
本審査では、STEP1で説明した「重点政策加点」「政策加点」に応じて加点することについて審査されます。
- 過去、「小規模事業者持続化補助金」で採択を受けて補助事業を実施した事業者については、全体を通して、それぞれ実施回の事業実施結果を踏まえた補助事業計画を作れているか、過去の補助事業と比較し、明確に異なる新たな事業であるか、といった観点からも審査を行われます。
- 過去に採択された事業者は、過去の補助事業(全国対象)の実施回数等に応じて段階的に減点調整を行われます。
交付決定
📍採択通知書の受領
採択通知書とは、補助金事務局から採択された旨を通知する書類です。原則として補助金交付決定通知書と同時に送付されますが、不備がある場合には採択通知書のみが送付されます。採択通知書のみでは、採択されたことが確定しただけであって、補助対象経費や補助金交付希望額を承認されたと判断できるものではありません。
補助金の交付予定額については、次の手続きにより決定します。
📍交付申請書の提出
📍補助金交付決定通知書の受領
補助金の対象となる経費の発注・契約・支出行為は、「補助金交付決定通知書」に記載された交付決定日から可能です。「補助金交付決定通知書」を受領後、事業を開始してください。
※交付決定日前に行われた発注・契約・支出行為は、補助対象外です。
なお、交付決定の内容及びこれに付された条件に対して不服があり、補助金の交付の申請を取り下げようとするときは、補助金交付決定通知を受けた日から 10 日以内に「交付申請取下届出書(交付規程・様式第3)」を提出していただく必要があります。
補助事業実施
📍経費の支出
対象となる支出
補助対象経費は「交付決定日以降から事業実施期限までに支払ったもの」が対象です。
経費の支払い方法は原則として「銀行振込」、例外的に現金及びクレジットカードによる支払いが認められています(自社振出・他社振出にかかわらず、小切手・手形による支払いや相殺による決済は一切補助対象外となります。)。
例外的に現金・クレジットカード支払いが認められる場合は以下のとおりです。
- 旅費(証拠書類が別途必要、例:券売機での購入や店頭窓口、ホテルのフロント等で直接支払うケース)
- 1取引で税抜 10 万円以下の支払い
- 現金決済のみの取引(代金引換限定のサービス等)の場合
上記のいずれかに該当し、かつ、その理由等が妥当であることを確認できれば現金払いが認められることがあります。
しかし、上記のいずれかに該当する場合であっても、以下のいずれかに該当する場合には補助対象外となりますのでご注意ください。
- 1取引を分割で支払う場合でも、取引全体で税抜10万円を超える場合
- クレジットカード払い等で、口座から引き落とされた日が、事業実施期限を過ぎている場合
- 振込手数料
- リボ払い等の分割払いでの支払いで、事業実施期間内に完済できない場合
相見積もりが必要な場合
発注総額が税込 100 万円を超える取引については、2者以上から見積もりを取り、より安価な発注先(委託先)を選んでいただく必要があります。ただし、事業内容の性質上、見積もりを取ることが困難な場合は、選定理由書を実績報告時にご提出ください。 ※なお、中古品の購入については、金額に関わらず、すべて、2者以上からの見積もりが必須となります。選定理由書の提出による購入は、一切認められません。
なお、契約金額が税抜100万円以上の契約をする際、補助事業の運営上、経済産業省から補助金交付等停止措置または指名停止措置が講じられている事業者を契約の相手方とすることはできません。ただし、当該事業者でなければ補助事業の遂行が困難または不適当であるとして、事前に補助金事務局等から承認を受けた場合は、契約の相手方とすることが可能です。
経費支出関連書類の宛名制限
経費支出関係書類(例:領収書・見積書・請求書・請書・契約書等)の宛名は、補助金請求者である「補助事業者名」で統一しなければなりません。例えば、宛名が空欄の領収書をご提出いただいても、補助事業者宛に発行された領収書なのか確認できないため、補助対象外となります。 業務上やむを得ず、法人の代表者や従業員が立替払をする場合(個人のクレジットカードによる支払いを含みます)でも、最終的に補助事業実施期間内に、補助事業者が経費を負担したことがわかる立替払精算の書類の提出がなければ、補助対象外となります(補助事業者と立替払者との間の精算(立替金を会社等が立替者本人に支払い)をもって「補助事業者からの支出」となります)。 ※ 立替払者個人のクレジットカードで支払いを行う場合は、以下の両方が必要となります。
- 補助事業実施期間中に、当該クレジットカード払いにかかる金融機関口座からの引き落としが確認できること
- 補助事業実施期間中に、補助事業者と立替払者との間での精算が確認できること
必要な取引に関する証拠書類
補助金は、補助金事務局等に対して、実績報告書とともに、経費支出の証拠書類を提出して、補助金の目的に沿って支出されているかの確認を受け、補助金額を確定したうえで支払われます。したがって、補助金事務局が正当な取引を行ったかを確認するために取引に関する証拠書類(例:下記書類)を提出する必要があります。補助金に関して提出する証拠書類は、第三者が見ただけで内容がわかることが重要です。書類ごとに必要な記載内容は異なりますが、 ①書類の発行日 ②書類の宛名 ③書類の名称 ④金額 ⑤書類の説明(内容) ⑥書類の発行者等、といった項目が記載されたものをご用意ください。電子取引データは、法律により、定められた要件を満たした形で保存する義務があります。インターネット広告の配信等において電子商取引を行う場合でも、「証拠書類によって金額が確認できる経費」のみが補助対象となります。取引先によく確認し、補助金で求められる、仕様提示、見積、発注・申込・契約、納品・完了・検収、請求、支払といった流れで調達を行い、適切な経理処理の証拠となる書類(取引画面のコピー等)を整理・保存・提出ができることを把握してから取引をしてください。
- 見積書
- 発注書
- 申込書
- 契約書
- 納品書
- 請求書
- 物品又はサービスを受けたことが分かる写真
- インターネットで表示される明細の画面のコピー
📍補助事業の変更
事業者情報・事業内容に変更が生じた場合、所定の手続きに従って変更手続きをする必要があります。
その際、発注・契約前に、補助金事務局へ所定の「変更承認申請書」(交付規程様式第4)を提出し、その承認を受けなければなりません(内容によっては、変更が認められない場合もあります)。原則として、補助事業計画に記載のない新しい費目の追加はできませんのでご注意ください。
※ 「設備処分費」については、経費の配分変更による増額変更は認められません。
また、諸事情により補助事業を中止又は廃止する場合には、補助事業実施期限までに、「補助事業の中止(廃止)申請書」(交付規程・様式第5)を提出しなければなりません。
事業者情報の例
- 個人事業主・法人の別
- 法人番号
- 住所
- 電話番号
- 代表者役職
- 代表者名
事業内容の例
- 補助金事務局が軽微でない変更だと判断した場合
※軽微か否かを判断することは困難であるため、補助金事務局へ電話で相談することをお勧め致します。 - 「補助対象経費の区分」相互間で補助対象経費の配分の際に、変動した額が20%を超える場合
- 経費区分を変更する場合
📍補助事業の実施
補助事業期間内までに事業が完了できない場合、原則、補助金の交付はされないため、計画的に実施する必要があります。
しかし、大雨、台風などの異常気象による激甚災害地域の指定、火事、地震など事業者の責任によらない事由により、補助事業期限までに事業を完了することができないと見込まれる場合、または事業実施が困難になった場合は、その状況となった時点で速やかに「事故報告書」(交付規程・様式第6)を事務局に提出することで、最大1ヵ月の延長が認められる場合があります。
実績報告書の提出
📍実績報告書の提出
補助事業の終了後は、次の「必要書類」記載の書類を、補助事業完了日から30日以内に補助金事務局等に提出しなければなりません。なお、追加で補助金事務局等から提出を求められた書類については、定められた期日までに提出する必要があります。もし、定められた期日までに、実績報告書等の提出が補助金事務局等で確認できなかった場合には、補助金交付決定通知書を受領していても、補助金を受け取れなくなります。
📍必要書類
全員
- 実績報告書(交付規程・様式第8)
- 経費支出管理表(参考様式)および支出内訳書(交付規程・様式第8・別紙3)
- 経費支出の証拠書類(必要書類すべて)
補助事業により収入金を得た者
- 収益納付に係る報告書(交付規程・様式第8・別紙4)
補助事業により1件あたり税別50万円以上の財産を得た者
- 取得財産等管理明細表(交付規程・様式第11-2)
「賃金引上げ枠」で申請をした者
- 賃金引上げ枠に係る実施報告書(交付規程・様式第8・別紙5)
- 役員、専従者従業員を除く全従業員の、実績報告書提出時点における直近1か月分の、労働基準法に基づく賃金台帳の写し
- 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日について、時間・日数が具体的に特定できるもの)が記載された書類の写し
卒業枠で申請した者
- 実績報告書提出時点における、労働基準法に基づく最新の労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)
インボイス特例を活用した者
- 適格請求書発行事業者の登録通知書の写し
※申請時に提出していない方のみ
報告書等の確認、補助金額の確定
📍実績報告書の確認
補助事業者から提出された実績報告書等の書類内容を補助金事務局等にて確認をして頂きます。実績報告書等に不備が無ければ、補助金事務局等から補助金額の確定通知書を送付されます。
補助金の請求
📍確定通知書の受領
確定通知書の受領後、精算払請求書(交付規程・様式第9)を補助金事務局等に提出してください。こちらの提出を以て補助金の請求が完了します。なお、精算払請求書(交付規程・様式第9)を提出いただけない場合は、交付決定を取り消しすることもございます。
補助金の交付
事業効果および賃金引上げ枠等状況報告書の提出
📍事業効果等状況報告
補助事業者は、補助事業の終了日の属する月の翌月から1年間の補助事業がもたらした効果等について、「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」(交付規程・様式第 14)を提出しなければなりません。
「賃金引上げ枠」「卒業枠」の申請をした事業者については、事業効果とともに、「賃上げの状況」又は「雇用の状況」についても併せて報告しなければなりません。その際、併せて証拠書類(役員、専従者を除く全ての従業員の賃金台帳・雇用条件の確認できる書類、労働者名簿の写し等)のご提出を求めることがあります。
その後
📍取得財産の処分制限
所定の取得財産等の目的外使用、譲渡、担保提供、廃棄等の処分には制限があります。 単価50万円(税抜き)以上の機械装置等の購入や、自社ウェブサイトの外注による作成、店舗改装による不動産の効用増加等は、「処分制限財産」に該当し、補助事業が終了し、補助金の支払を受けた後であっても、一定の期間において処分(補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等)が制限されます。 処分制限期間内に当該財産を処分する場合には、必ず補助金事務局等へ承認を申請し、承認を受けた後でなければ処分できません。補助金事務局等は、財産処分を承認した補助事業者に対し、当該承認に際し、残存簿価等から算出される金額の返還のため、交付した補助金の全部または一部に相当する金額を納付させることがあります。承認を得ずに処分を行うと、交付規程違反により補助金交付取消・返還命令(加算金付き)の対象となります。
📍補助事業に関連する書類の保存義務
補助事業に関係する帳簿および証拠書類を補助事業の終了日(廃止の承認を受けた場合も含む)の属する年度の終了後5年間、補助金事務局等や独立行政法人中小企業基盤整備機構、国の補助金等の執行を監督する会計検査院からの求めがあった際に、いつでも閲覧に供せるよう保存しておかなければなりません。この期間に、会計検査院等による実地検査等が実施される可能性もあり、補助金を受けた者の義務として応じなければなりません。また、検査等の結果、仮に、補助金の返還命令等の指示がなされた場合には従わなければなりません。
まとめ
申請前の準備段階から事後手続きまでの一連の流れを説明します。まず、電子申請にはGビズプライムのアカウント作成が必要で、申請枠の選定や必要書類の準備が求められます。補助金の申請には、事業計画書や経費の明確化が重要です。管轄の商工会または商工会議所に事業支援計画書の交付を依頼し、電子申請画面に情報を入力し、申請内容を確認します。申請後、補助金事務局の審査を経て採択が決定され、補助金交付決定通知書が送付されます。その後、補助事業の実施と経費支出を行い、実績報告書を提出します。最終的に補助金額の確定通知書を受領し、補助金を請求・交付されます。補助事業の効果等の状況報告書も提出が必要です。また、取得財産の処分制限や書類の保存義務など、事後の手続きや義務もあります。これらの手順を遵守し、計画的に進めることで補助金を効果的に活用できます。
本補助金の対象経費や小規模事業者持続化補助金という制度の概要については下記の記事で解説しています。
当事務所の代表は、商社法務部として数多くの事業に携わったことから各事業の事業計画書の作成に精通しています。この経験から、貴社が安全に小規模事業者持続化補助金を受領できるような事業計画書の作成は勿論、採択後のサポートまで一括でサポートすることが可能です。
無料相談も承っていますのでご興味がありましたらお問い合わせくださいませ。