はじめに
小規模事業者持続化補助金の申請を検討している方々の中には、自分が計画している経費が補助の対象となるかどうかを気にしている方も多いでしょう。また、どのような経費が補助対象となるのか、具体的な区分を知りたいと考えている方もいるでしょう。
本記事では、小規模事業者持続化補助金の補助対象経費の区分について、補助対象外となる経費も含めて詳しく解説します。この内容は、最新の第16回公募要領を基にしていますので、補助経費について情報をお探しの方はぜひ参考にしてください。
対象経費区分10種
小規模事業者持続化補助金の対象経費区分は下記10種にわたります。申請時に適切でない経費にて申請してしまうと訂正を求められることとなります。この場合に期限ぎりぎりであった場合、訂正が間に合わない恐れもありますので、十分確認してから申請するようにしましょう。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 新商品開発費
- 資料購入費
- 借料
- 設備処分費
- 委託・外注費
機械装置購入費
機械装置購入費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した機械装置等の購入に関する経費をいいます。
💡注意点
補助事業期間を超過する場合
契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権等を購入する場合は、按分等の方式により算出された補助事業期間分のみ補助対象となります。
ウェブサイト関連費の対象となる経費
ウェブサイト、システム開発等に関連するソフトウェアの購入費は機械装置等費ではなくウェブサイト関連費となります。
中古品を購入する際の注意点
- 中古品を購入する場合、購入単価が50万円(税抜き)未満でなければなりません。 単価が50万円(税抜き)以上の中古品を単価50万円(税抜き)未満になるように分割して購入する場合は、その中古品全体が補助対象外となります。
- 2者以上の者による見積り 購入金額に関わらず、すべて、2者以上の中古品販売事業者(個人からの購入や、オークション(インターネットオークションを含みます)による購入は不可)から同等品について見積りをしてもらう必要があります。 また、見積の際に、見積り(見積書、価格表等)の取得が必要です。実績報告書の提出時に、これら複数の見積書を必ず添付してください。(理由書の提出による 随意契約での購入は、中古品の場合は、補助対象外となります。)
対象となる経費
- 高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア
- 衛生向上や省スペース化のためのショーケース
- 生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫
- 新たなサービス提供のための製造・試作機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンター含む)
- 販路開拓等のための特定業務用ソフトウェア(精度の高い図面提案のための設計用3次元CADソフト、販促活動実施に役立てる顧客管理ソフト等。※ただしPOS ソフトは事業計画書内へ業務効率化(生産性向上)の取組内容に記載した場合に限る)
- 自動車等車両のうち「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」の「機械及び装置」区分に該当するもの(例:ブルドーザー、パワーショベルその他の自走式作業用機械設備)
対象とならない経費
- 機械装置の修理費用
- 自動車等車両(「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」の「機械及び装置」区分に該当するものを除く)
- 自転車・文房具等・パソコン・事務用プリンター・複合機・タブレット端末・WEB カメラ・ウェアラブル端末・PC 周辺機器(ハードディスク・LAN・Wi-Fi・サーバー・モニター・スキャナー・ルーター、ヘッドセット・イヤホン等)・電話機・家庭および一般事務用ソフトウェア・テレビ・ラジオ・その他汎用性が高く目的外使用になりえるもの
- 既に導入しているソフトウェアの更新料(ある機械装置等を商品として販売・賃貸する事業者が行う)当該機械装置等の購入・仕入れ(デモ品・見本品とする場合でも不可)単なる取替え更新であって新たな販路開拓 につながらない機械装置等
- 古い機械装置等の撤去・廃棄費用(設備処分費に該当するものを除く)
- 船舶
- 動植物
広報費
広報費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した商品・サービスの広報に関する経費をいいます。
💡注意点
商品・サービスの名称や宣伝文句の付記
商品・サービスの名称や宣伝文句の付記がない場合は、補助事業計画に基づく商品・サービスの広報を目的としたものといえず補助対象外となってしまいます。
対象となる経費
- チラシ・カタログの外注や発送
- 新聞・雑誌等への商品・サービスの広告
- 看板作成・設置
- 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)
- 販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)
- 郵送によるDM の発送
対象とならない経費
- 試供品(販売用商品と同じものを試供品として用いる場合)
- 販促品(商品・サービスの宣伝広告の掲載がない場合)
- 名刺
- 商品・サービスの宣伝広告を目的としない看板・会社案内パンフレットの作成・求人広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外)
- 文房具等
- 金券・商品券
- チラシ等配布物のうち未配布・未使用分
- 補助事業期間外の広告の掲載や配布物の配布
- フランチャイズ本部の作製する広告物の購入
- 商品販売のための動画作成
- 販路開拓に必要なシステム開発
ウェブサイト関連費
ウェブサイト関連費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出したEC サイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費をいいます。
💡注意点
補助金額の上限
ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の1/4(最大50 万円)が、当経費の申請額の上限です。
※通常枠では12.5 万円(インボイス特例対象者は25 万円)、特別枠(賃金引上げ枠・卒業枠・後継者 支援枠・創業枠)では50 万円が、当経費の申請額の上限となります(インボイス特例対象者も同様)。
対象となる経費
- インターネットを介したDMの発送
- インターネット広告
- バナー広告の実施
- 効果や作業内容が明確なウェブサイトの
- SEO 対策
- 商品販売のための動画作成
- 商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外)
- ウェブサイトに関連するコンサルティング、アドバイス費用
- 補助事業期間内に公開に至らなかった
- 動画・ホームページ・ランディングページ
- システム開発、構築に係る経費(インターネットを活用するシステム、スマートフォン用のアプリケーション、業務効率化のためのソフトウェアなど)
- SNSに係る経費
対象とならない経費
- 商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外)
- ウェブサイトに関連するコンサルティング、アドバイス費用
- 補助事業期間内に公開に至らなかった
- 動画・ホームページ・ランディングページ
展示会等出展費
展示会等出展費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した新商品・新サービスを展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費をいいます。
💡注意点
海外での出展
海外で展示会等を開催した場合には、出展費用の計上にあたり外国語で記載の証拠書類等を実績報告時に提出する場合には、当該書類の記載内容を日本語で要約・説明する必要があります。
対象となる経費
- 展示会出展の出展料
- 上記に関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)・通訳料・翻訳料
対象とならない経費
- 販売のみを目的とし、販路開拓に繋がらないもの
- 補助事業期間外に開催される展示会等に係るもの
- 選考会、審査会(○○賞)等への参加・申込費用
- 実績報告の際に提出する証拠書類の翻訳料
- 文房具等の事務用品等の消耗品代
- 飲食費を含んだ商談会参加費等
旅費
旅費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した販路開拓(展示会等の会場との往復を含む。)のための出張に要する経費をいいます。
💡注意点
交通費の支給基準
補助対象経費に計上する旅費は、最も経済的および合理的な通常の経路および方法により旅行した場合の実費であるか否かが基準となります。
宿泊費の支給基準
支給される宿泊費は、下記図の地域区分に応じて変動します。
対象となる経費
- 展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査等に係る、宿泊施設への宿泊代
- バス運賃・電車賃・新幹線料金(指定席購入含む)・航空券代(燃油サーチャージ含む。エコノミークラス分の料金までが補助対象)、航空保険料、出入国税
対象とならない経費
- 国の支給基準の超過支出分
- 日当
- ガソリン代・駐車場代・タクシー代・レンタカー代・高速道路通行料・グリーン車・ビジネスクラス等の付加料金分
- 朝食付き・温泉入浴付き宿泊プランにおける朝食料金・入浴料相当分
- 視察・セミナー等参加のための旅費
- パスポート取得料
新商品開発費
新商品開発費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工に要する経費をいいます。
💡注意点
原材料等の数量
購入する原材料等の数量はサンプルとして使用する必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切ることが必要です(実際に使用したもののみが補助対象です)。
対象となる経費
- 新製品・商品の試作開発用の原材料の購入
- 新たな包装パッケージに係るデザイン費用
対象とならない経費
- 文房具等
- 開発・試作した商品をそのまま販売する場合の開発費用
- 試作開発用目的の購入で使い切らなかった材料分
- デザインの改良等をしない既存の包装パッケージの印刷・購入
- (包装パッケージの開発が完了し)実際に販売する商品・製品を包装するために印刷・購入するパッケージ分
- システム開発・構築(ウェブサイト関連費にて計上してください)
資料購入費
資料購入費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した図書等の購入に要する経費をいいます。
💡注意点
購入図書数限度
購入する部数・冊数は1種類につき1部(1冊)を限度とします(同じ図書の複数購入は補助対象外です)。
借料
借料とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した機器・設備等のリース・レンタルの購入に要する経費をいいます。
💡注意点
事務所に係る家賃
事務所等に係る家賃は補助対象となりません。ただし、既存の事務所賃料ではなく、新たな販路開拓の取組の一環として新たに事務所を賃借する場合は、対象となる場合があります。なお、審査時に床面積の按分資料が必要となることがあります。
設備処分費
設備処分費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した作業スペース等の拡大等の目的で設備機器等を廃棄・処分・返却に要する経費をいいます。
💡注意点
補助金額の上限
申請時における「設備処分費」の補助対象経費への計上額は、補助対象経費総額の1/2を上限(設備処分費以外の補助対象経費合計額を超えない)とします。
対象となる経費
- 既存事業において使用していた設備機器等の解体・処分費用
- 既存事業において借りていた設備機器等の返却時の修理・原状回復費用(賃貸借契約が締結されており、使用者であることが法的に確認できることが必要です)
対象とならない経費
- 既存事業における商品在庫の廃棄・処分費用
- 消耗品の処分費用
- 自己所有物の修繕費
- 原状回復の必要がない賃貸借の設備機器等
委託・外注費
委託・外注費とは、補助事業遂行に必要かつ補助事業終了日までに支出した に要する経費をいいます。
💡注意点
補助対象外
以下のいずれかに該当する場合は補助対象外となります。
- デザイン会社によるデザインの外注など、補助事業者が通常事業として実施している業務については、自ら実行することが困難な業務
- 補助金応募書類・実績報告書等の作成・送付・手続きに係る費用
対象となる経費
- 店舗改装・バリアフリー化工事
- 利用客向けトイレの改装工事
- 製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事
- 移動販売等を目的とした車の内装・改造工事(補助事業計画の「Ⅰ.補助事業の内容」の「3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容」に記載した場合に限り)従業員の作業導線改善のための従業員作業スペースの改装工事
- インボイス制度対応のための取引先の維持・拡大に向けた専門家(税理士、公認会計士、中小企業診断士等)への相談費用
対象とならない経費
- 補助事業で取り組む販路開拓や業務効率化に結びつかない工事(単なる店舗移転を目的とした旧店舗・新店舗の解体・建設工事、住宅兼店舗の改装工事における住宅部 分、既存の事業部門の廃止にともなう設備の解体工事(設備処分費に該当するものを除く)など)
- 有償レンタル・有償貸与を目的としたスペースの改装に係る費用
- 「建物の増築・増床」や「小規模な建物(コンテナハウス等)の設置」など「不動産の取得」に係る費用(ただし、下記全ての条件を満たしている費用に限る。)
- 外気分断性があること
屋根および周壁またはこれに類するもの(三方向以上壁で囲われている等)を有し、独立して風雨をしのぐことができること。一方、支柱と屋根材のみで作られた飲食店の戸外テラス席や、駐輪場・カーポート等、周壁のないものは「外気分断性」は認められないため、「不動産の取得」には該当しない。 - 土地への定着性
基礎等で物理的に土地に固着していること。一方、コンクリートブロックの上に、市販の簡易物置やコンテナを乗せただけの状態のものは「土地への定着性」は認められないため、「不動産の取得」には該当しない。 - 用途性
建造物が家屋本来の目的(居住・作業・貯蔵等)を有し、その目的とする用途に供しうる一定の利用空間が形成されていること。
経費明細表への記載
小規模事業者持続化補助金の申請には、経費明細表の記入が必要です。この経費明細表は、申請に必要な補助事業計画書②の一部として提出します。記入する項目には、「経費区分」「必要理由」「経費内訳」「補助対象経費」が含まれます。なお、経費内訳は見積もり額や概算での記入が認められています。
以下項目を記載する必要があります。
- 経費区分
- 内容・必要理由
- 経費内訳(単価×回数)
- 補助対象経費(税抜or税込)
※免税事業者が「税抜」課税事業者は「税込」
経費区分 | 内容・必要理由 | 経費内訳(単価×回数) | 補助対象経費(税抜or税込) |
---|---|---|---|
○○費 | ○○のため | ○○×○○ | ○○円 |
採択後の経費区分変更
採択後に支出する経費に変更が生じた場合、所定の手続きに従って変更手続きをする必要があります。
その際、発注・契約前に、補助金事務局へ所定の「変更承認申請書」(交付規程様式第4)を提出し、その承認を受けなければなりません(内容によっては、変更が認められない場合もあります)。原則として、補助事業計画に記載のない新しい費目の追加はできませんのでご注意ください。
※ 「設備処分費」については、経費の配分変更による増額変更は認められません。
また、諸事情により補助事業を中止又は廃止する場合には、補助事業実施期限までに、「補助事業の中止(廃止)申請書」(交付規程・様式第5)を提出しなければなりません。
まとめ
小規模事業者持続化補助金の申請を検討する際には、対象となる経費と対象外となる経費を正確に把握することが重要です。本補助金の対象経費は大きく10種類に分類され、それぞれの経費区分に該当する内容を確認する必要があります。例えば、機械装置等費には補助事業遂行に必要な機械装置の購入費が含まれ、広報費には商品やサービスの広告に関連する費用が含まれます。また、ウェブサイト関連費はECサイトやシステム開発にかかる費用が対象となりますが、補助金額の上限が設けられているため注意が必要です。
一方、補助対象外の経費も明確に定められており、例えば、修理費や一般的な事務用品の購入費は補助対象外です。中古品を購入する場合にも特定の条件があり、適切な手続きが求められます。また、経費の変更が生じた場合には、所定の手続きに従い、事前に変更承認申請書を提出しなければなりません。
これらの要件を遵守し、適切な経費を申請することで、補助金の効果的な活用が可能となります。申請時には、最新の公募要領を参考にし、詳細な確認を行った上で申請することをおすすめします。
本記事では、小規模事業者持続化補助金の補助対象経費について説明させて頂きました。全体の流れに関しては以下の記事から全体像を確認することが出来ますので、申請前に併せてご確認ください。
当事務所の代表は、商社法務部として数多くの事業に携わったことから各事業の事業計画書の作成に精通しています。この経験から、貴社が安全に小規模事業者持続化補助金を受領できるような事業計画書の作成は勿論、採択後のサポートまで一括でサポートすることが可能です。
無料相談も承っていますのでご興味がありましたらお問い合わせくださいませ。