【改正対応・徹底解説】契約の「無効」とは?効力、取消しとの違いについて解説

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契約の無効とは

無効を示す×マーク
契約の有効要件

契約が有効となるためには、以下の5つの要素を全て満たす必要があります。

  1. 契約内容が公序良俗に反しない(社会的妥当性)
    • 民法第90条に基づき、公の秩序や善良の風俗に反する法律行為は無効。
  2. 権利義務の内容が明確であること(確定性)
    • 契約内容は全ての当事者にとって明瞭かつ理解しやすい必要があります。
  3. 強行法規に反しない(適法性)
    • 契約内容が強行法規に反する場合、該当条項は無効。
    • 実務においては消費者契約法に違反したことにより無効となるケースがある。
  4. 契約当事者が意思能力を具備していること
    • 契約締結当時に法的効果を認識し得る精神的能力が必要。
    • 意思能力の有無は法律行為の性質に照らして判断される。
  5. 意思表示が虚偽又は真意でないこと
    • 民法第94条第1項に基づき、相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効。
    • 民法第93条第1項に基づき、真意でない意思表示も無効となる可能性がある。

これらの要素が満たされない場合、契約は無効となり、法律効果は発生しません。

 無効とは、上記で説明した契約の有効要件5つのうちいずれか1つを欠いた場合に契約が、締結当時に遡って効力を『無』にすることをいいます。

 契約の有効要件については下記の記事で詳しく解説しています。

無効の効力

 無効の効力は、「法律行為を当初に遡って効力を全く生じないものとして取り扱う」という「遡及効」というものになります。

 有効要件のうち、1つでも満たしていない時点で当初に遡って全く生じないものとして取り扱われてしまいます。

 しかし、例外として法律行為の当事者間で「法律行為が無効である」ということを認識した上で、追認(後から追って有効と認めること)した場合には民法第119条に基づき、有効となります。

民法第119条(無効な行為の追認)

 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなす。

取消しとの違い

無効取消し
効力遡及効遡及効
主張の必要性×
誰でも主張できるか×(取消権者のみ)
追認により有効となるか×(例外的に〇となる場合あり)

 無効と取消しは効力は同様ですが、遡及効を生じさせるまでの過程や主張者等、細かい点が異なります。

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