おさらい
前回は、民泊事業の開始~宿泊までの流れについて解説しました。
当記事では、民泊管理の業務委託について詳細に説明致しますが、その前に「民泊管理の業務委託」について前回の復習をします。
まだ、ご覧になられていない方は下記からご覧ください。
民泊管理の外部委託
民泊事業において下記のいずれかに該当する場合は、民泊の管理を外部委託しなければなりません。
原則:
- 届出住宅の居室の数が5部屋を超える場合
- 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在は除く)となる場合。
しかし、以下のいずれかに該当する場合は、外部委託する必要はありません。
例外:
- 住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の建築物もしくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く)
- 届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行う部屋の数の合計が5以下であるとき
- 住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うとき
委託時の注意点
複数の業者への委託の禁止
外部委託をする際は、一の住宅宿泊管理業者に委託しなくてはならず、複数の者に分割して委託することはできません。
第11条(住宅宿泊管理業務の委託)
第1項
住宅宿泊事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。ただし、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うときは、この限りでない。
第1号
届出住宅の居室の数が、一の住宅宿泊事業者が各居室に係る住宅宿泊管理業務の全部を行ったとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数を超えるとき。
第2号
届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものを除く。)となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労働省令で定めるときを除く。)。
第2項
第5条から前条までの規定は、住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅において住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者については、適用しない。
規則第9条(住宅宿泊管理業務の委託の方法)
第1項
法第11条第1項の規定による委託は、次に定めるところにより行わなければならない。
第1号
届出住宅に係る住宅宿泊管理業務の全部を契約により委託すること。
第2号
委託しようとする住宅宿泊管理業者に対し、あらかじめ、法第3条第2項の届出書及び同条第3項の書類の内容を通知すること。
第2項
法第11条第1項第1号の国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数は、5とする。
第3項
法第11条第1項第2号の国土交通省令・厚生労働省令で定めるものは、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在とする。
第4項
法第11条第1項第2号の国土交通省令・厚生労働省令で定めるときは、次の各号のいずれにも該当するときとする。
第1号
住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く。)。
第2号
届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が五以下であるとき。
民泊管理とは?
民泊管理とは、”民泊に係る管理業務”を意味し、わかりやすいように私個人が定義づけた名称です。
しかし、下記法律上で「住宅宿泊管理業務」と定義づけられていますので本記事より「住宅宿泊管理業務」と言わせて頂きます。
第2条(定義)
第6項
この法律において「住宅宿泊管理業」とは、住宅宿泊事業者から第十一条第一項の規定による委託を受けて、報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業をいう。
住宅宿泊管理業務とは、下記を指します。
住宅宿泊管理業務の定義
法第2条(定義)
第5項
この法律において「住宅宿泊管理業務」とは、第5条から第10条までの規定による業務及び住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅(次条第一項の届出に係る住宅をいう。以下同じ。)の維持保全に関する業務をいう。
法第5条(宿泊者の衛生の確保)
住宅宿泊事業者は、届出住宅について、各居室(住宅宿泊事業の用に供するものに限る。第11条第1項第1号において同じ。)の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃その他の宿泊者の衛生の確保を図るために必要な措置であって厚生労働省令で定めるものを講じなければならない。
法第6条(宿泊者の安全の確保)
住宅宿泊事業者は、届出住宅について、非常用照明器具の設置、避難経路の表示その他の火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置であって国土交通省令で定めるものを講じなければならない。
法第7条(外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保)
住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対し、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供その他の外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置であって国土交通省令で定めるものを講じなければならない。
法第8条(宿泊者名簿の備付け等)
第1項
住宅宿泊事業者は、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより届出住宅その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出しなければならない。
第2項
宿泊者は、住宅宿泊事業者から請求があったときは、前項の国土交通省令・厚生労働省令で定める事項を告げなければならない。
法第9条(周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明)
第1項
住宅宿泊事業者は、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項その他の届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項であって国土交通省令・厚生労働省令で定めるものについて説明しなければならない。
第2項
住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いて前項の規定による説明をしなければならない。
第10条(苦情等への対応)
住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならない。
誰に委託する?
住宅宿泊管理業務を受託してよい人物は、「国土交通大臣から住宅宿泊管理業者として登録を受けた者」に限ります。
なお、住宅宿泊管理業者にはそれぞれ登録番号が与えられています。
上記登録を受けているかどうかは、下記URLから各地方ごとのHPへ行き、「住宅宿泊管理業者登録簿」に上記登録番号があるか否かにより判別できます。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000140.html
法第2条(定義)
第7項
この法律において「住宅宿泊管理業者」とは、第22条第1項の登録を受けて住宅宿泊管理業を営む者をいう。
法第22条(登録)
第1項
住宅宿泊管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない。
委託開始までの流れ
①相手方の募集・選定
一般的に、住宅宿泊管理業者から「私の方でやりますよ」とお声かけを頂くことが多いです。
その場合は、予め、当該業者がカバーできる範囲及び登録番号を聴取しましょう。
②締結前に、相手からの管理受託契約の説明書面の交付
締結前に、住宅宿泊管理業者から下記について記載のある書類を交付してもらいます。
なお、説明書類の交付は住宅宿泊管理業者となる予定の者の義務ですのでなければ請求しましょう。
- 管理受託契約を締結する住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
- 住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
- 住宅宿泊管理業務の内容及び実施方法
- 報酬並びにその支払の時期及び方法
- 前号に掲げる報酬に含まれていない住宅宿泊管理業務に関する費用であって、住宅宿泊事業者が通常必要とするもの
- 住宅宿泊管理業務の一部の再委託に関する事項
- 責任及び免責に関する事項
- 契約期間に関する事項
- 契約の更新及び解除に関する事項
法第33条(管理受託契約の締結前の書面の交付)
第1項
住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、委託者(住宅宿泊管理業者である者を除く。)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。
第2項
住宅宿泊管理業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、委託者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものをいう。第六十条第二項において同じ。)により提供することができる。この場合において、当該住宅宿泊管理業者は、当該書面を交付したものとみなす。
③締結時に相手からの説明書類の交付
住宅宿泊管理業者となる者は、管理受託契約を締結したときは、住宅宿泊事業者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければなりません。
そのため、住宅宿泊事業者は頂いていなければ請求しましょう。
- 住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
- 住宅宿泊管理業務の実施方法
- 契約期間に関する事項
- 報酬に関する事項
- 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
- その他国土交通省令で定める事項
法第34条(管理受託契約の締結時の書面の交付)
第1項
住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結したときは、委託者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
第1号
住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
第2号
住宅宿泊管理業務の実施方法
第3号
契約期間に関する事項
第4号
報酬に関する事項
第5号
契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
第6号
その他国土交通省令で定める事項
第2項
前条第二項の規定は、前項の規定による書面の交付について準用する。
④契約締結後
契約を締結しましたら、正式に委託することが可能になります。
契約書に記載した業務の範囲等を互いに共有しましょう。
根拠法令一覧
住宅宿泊事業法
第2条(定義)
第6項
この法律において「住宅宿泊管理業」とは、住宅宿泊事業者から第十一条第一項の規定による委託を受けて、報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業をいう。
第11条(住宅宿泊管理業務の委託)
第1項
住宅宿泊事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。ただし、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うときは、この限りでない。
第1号
届出住宅の居室の数が、一の住宅宿泊事業者が各居室に係る住宅宿泊管理業務の全部を行ったとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数を超えるとき。
第2号
届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものを除く。)となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労働省令で定めるときを除く。)。
第2項
第5条から前条までの規定は、住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅において住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者については、適用しない。
第33条(管理受託契約の締結前の書面の交付)
第1項
住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、委託者(住宅宿泊管理業者である者を除く。)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。
第2項
住宅宿泊管理業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、委託者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものをいう。第六十条第二項において同じ。)により提供することができる。この場合において、当該住宅宿泊管理業者は、当該書面を交付したものとみなす。
第34条(管理受託契約の締結時の書面の交付)
第1項
住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結したときは、委託者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
第1号
住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
第2号
住宅宿泊管理業務の実施方法
第3号
契約期間に関する事項
第4号
報酬に関する事項
第5号
契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
第6号
その他国土交通省令で定める事項
第2項
前条第二項の規定は、前項の規定による書面の交付について準用する。
住宅宿泊事業法施行規則
第9条(住宅宿泊管理業務の委託の方法)
第1項
法第11条第1項の規定による委託は、次に定めるところにより行わなければならない。
第1号
届出住宅に係る住宅宿泊管理業務の全部を契約により委託すること。
第2号
委託しようとする住宅宿泊管理業者に対し、あらかじめ、法第3条第2項の届出書及び同条第3項の書類の内容を通知すること。
第2項
法第11条第1項第1号の国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数は、5とする。
第3項
法第11条第1項第2号の国土交通省令・厚生労働省令で定めるものは、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在とする。
第4項
法第11条第1項第2号の国土交通省令・厚生労働省令で定めるときは、次の各号のいずれにも該当するときとする。
第1号
住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く。)。
第2号
届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が五以下であるとき。
国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則
第14条(管理受託契約の締結前の説明事項)
第1項
法第33条第1項の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
第1号
管理受託契約を締結する住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
第2号
住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
第3号
住宅宿泊管理業務の内容及び実施方法
第4号
報酬並びにその支払の時期及び方法
第5号
前号に掲げる報酬に含まれていない住宅宿泊管理業務に関する費用であって、住宅宿泊事業者が通常必要とするもの
第6号
住宅宿泊管理業務の一部の再委託に関する事項
第7号
責任及び免責に関する事項
第8号
契約期間に関する事項
第9号
契約の更新及び解除に関する事項
まとめ
この記事では、民泊事業での管理業務の外部委託について説明致しました。
民泊事業者は、一定の条件で、管理業務を認定された住宅宿泊管理業者に委託しなければなりません。
例として、届出住宅の部屋数が5部屋を超える、または、事業者が不在になる場合があります。しかし、例外もあります。
また、委託は一つの業者に限定され、分割委託は不可です。
業者の選定、登録番号の確認、契約前の文書の交付など、様々な手続きが必要ですので、ご不明点等ございましたらご相談ください。